Aki Kaurismaki
  / makieba

... 運 命 論

 すると百姓たちから一斉に抗議が沸き起こった。彼らはナイフとフォークを握り、わめきながらテーブルを連打した。コックたちはそれを一人ずつ捕まえて店から放り出した。放り出された百姓が山のように重なった。やがてその山の中から一人ずつ走り去っていった。
 有り難いことに、この作品には発表された後で人物紹介が添付された。勿論、その紹介で作品の持つ謎を解明はできない。むしろ謎を付け足すための紹介とも言える。だからこそ面白いのだが…… どんどん難しくなっていく。
 難解で荒唐無稽と云いたくなるほど超現実的なのに、大枠として物語らしさを保っている。物語とは何か。何をもって読み手は物語であると感じているのか。そしてこの作品が単なる物語でないとするならば、どんな要素によってなのか……
 検討課題は尽きない。
 とにもかくにも、引用した部分の、目に映るような百姓の描写が私は大好きである。私も彼らに続いて走り去ったような気がしてならないのだ。